院長ブログ

2011.10.05更新

今年度から、小児のインフルエンザワクチン接種量が変更になりました。

昨年度まで:1歳未満0.1ml 2回、1歳から5歳0.2ml 2回、6歳から12歳0.3ml 2回、13歳以上0.5ml 1回
今年度から:3歳未満0.25ml 2回、3歳から12歳まで 0.5ml 2回、13歳以上 0.5ml 1回

実は、昨年度までの接種量は、世界の標準接種量よりは少ない量でした。このため、2009年に新型インフルエンザが出現したときに、小児への免疫力を高めるために、新型インフルエンザワクチンを世界の標準接種量で接種する研究が行われました。また、季節性インフルエンザワクチンも含んだ3価ワクチンの接種量の研究も行われました。結果は、ともに、世界の標準接種量で接種したほうが免疫がつきやすく、副反応が増えることもないというものでした。この結果を受け、今年度から小児の接種量が変更になりました。

接種回数については、世界は10歳未満で初めてインフルエンザワクチンを受けるときは2回、翌シーズンからは1回になっています。今回、接種量の変更により、免疫がつきやすくなることが期待されますので、接種回数についても、今後、変更になる可能性もあります。

当院でも、10月1日からインフルエンザワクチンの受付を開始しました。ワクチンの効果が出るには2週間ほどかかりますので、流行する前に接種を済ませましょう。料金は2回の方は1回につき2000円(2回で4000円)、1回の方は2500円です。

投稿者: 平井クリニック

2011.09.19更新

昨日の日進市の花火大会で,予定されていた福島の花火が一部の市民からの抗議で打ち上げられなかったというニュースがありました。東日本大震災の被災地復興を応援するはずが,新たな風評被害を作ってしまい,被災地の方々には逆に不愉快な思いをさせてしまったのは残念なことです。さらに,日進市が新たな風評被害の発信地として全国的に知れ渡ってしまい,日進市のイメージダウンも計り知れないものがあります。

なぜ,このような風評被害が後を絶たないかというと,やはり情報不足から沸き起こる不安感が,個人によってはかなり大きなものになってしまい,過敏に反応してしまうということだと思います。

主催者側は,8月の京都五山の送り火で,陸前高田の松が使えなかった事例から学ぶべきでした。心配した市民からの問い合わせには,放射能測定値や専門家の安全だという意見をもって答える準備をすべきでした。

普段,診療をしていても,患者さんが受診される症状の程度には,かなり個人差があります。少しの擦り傷で来院する方もいれば,出血が止まらなくてやっと来院する方もいます。これは,人によって,心配の閾値が異なることが原因で,医療者は,普段から個々の心配の閾値を推し量り,いざという時に備え,必要な情報と情報の解釈の仕方を十分に提供しておく必要があります。

患者さんとは,なるべく時間をかけてお話しし,病状だけでなく普段気に留めていらっしゃることも十分に把握できるよう,努めて参ります。

投稿者: 平井クリニック

2011.09.15更新

前回,禁煙補助薬"チャンピックス"による意識障害について書きましたが,米国の添付文書には,WARNINGS AND PRECAUTIONSの項目に,「患者はチャンティックス(米国での販売名)による禁煙が自分にどのような影響を及ぼすかを把握するまで,運転や機械操作など事故の恐れのある行為には注意してください。」とあり,欧州の添付文書もほぼ同じような内容です。患者さんに必要な情報を提供した上で,服用するかどうかは自己責任で判断して下さいということで,文化の違いがよく表れていると思います。

欧米では,自分の行動は自分の意志で決めるものであり,そのため,自分の行動に対しては自分で責任を持たなければいけないという自己責任論があります。どのような文化的な背景でこうなったかは分かりませんが,生活の隅々までこのような考え方は浸透しているようです。なでしこジャパンの協調性の良さに対して,欧米のチームは自分が納得するまで動かないので監督は大変だという趣旨の発言を佐々木監督がしていました。

日本でも2004年のイラク人質事件の頃からだと思いますが,個人の行動に対する自己責任がよく問われるようになりました。

生活習慣病は,その名のとおり生活習慣が発症,進行に関与している病気ですが,病気についての自己責任はどう考えればよいのでしょうか。日本は相互補助の健康保険制度が発達しており,病気にかかった際の医療費は一部の自己負担金ですみます。生活習慣は,仕事などで制限される部分もありますが,食事,運動,喫煙など,多くが自己責任の範疇です。つまり,体に悪いと分かっていても習慣を変えられずにかかった病気の医療費を,他人が負担している訳です。

健康についての自己責任は,例えば喫煙者では生命保険の保険料が割り増しになるなど,病気が発症する前は,考慮されるようになってきましたが,いざ病気になった場合には,平等に医療を受けられ,差別されることはありません。命の重さを考えると当然のことですが,同じような生活をしていても病気になる人もいればならない人もいるなど,もって生まれた素質にまで自己責任を負わせるのは酷だとも言えます。また,実際問題としても,生活習慣病の多さを考えると,ここで自己責任論を持ち出すのは,よい医療が受けられずに病気で働けない人があふれ,社会が立ち行かなくなる危険性もあります。

個人は唯一無二の存在であり家族や社会にとってかけがえのないものです。より良く生きる手助けをし,病気になった時には速やかに軌道修正できるような医療を提供したいと思います。

禁煙補助薬の添付文書から,いろいろ思いをめぐらせてしまいました。

投稿者: 平井クリニック

2011.09.04更新

高血圧は日本人に一番なじみのある慢性の病気ですが,薬は飲み始めたら止められないので嫌だという人が多くいます。これは,ずっと薬を飲むのは面倒,副作用が心配,費用がかかる,特に体調が悪くないので必要ない,今まで元気だったのに病気を認めたくないなど,色々な理由があるでしょう。実際問題として,薬を飲むのは,血圧が上がりすぎて具合が悪くなるぎりぎりまで待っても良いのでしょうか。

結論から言うと,薬が必要な場合は,なるべく早く飲み始めたほうがよく,最近,これを裏付けるような論文が出ました(Hypertension. 2010; 56: 1060-1068.)。これは,まず2つのグループを作り,片方には降圧薬を,他方には偽薬(血圧を下げる作用はないもの)を一定期間飲んでもらいます。途中からは両グループとも降圧薬に変更します。すると,初めのうちは,当然,降圧薬を飲んだほうが死亡率が少なくなりましたが,薬を変更後もその状態が続きました。動脈硬化,左室肥大などは高血圧によって徐々に進行し,降圧治療で予防,改善できますが,途中から治療を始めたグループでは初めから降圧薬を飲んだグループに追いつくほどには改善しなかったということでしょう。つまり,薬はなるべく早く飲み始めたほうがよいということになりました。

次に,薬は飲み続けないといけないかということについては,どうでしょう。高血圧の原因には,肥満,塩分の摂りすぎ,喫煙,飲酒,ストレス,寝不足,家族歴などがありますが,これらの中で,生活習慣が原因になっているものについては,原因を解消すれば薬が要らなくなる可能性があります。

高血圧と診断され,薬が必要と判断されたら,なるべく早く内服を開始し,それと同時に生活習慣を見直すのがベストです。

血圧を下げるという宣伝文句のサプリメントや健康食品を高価な代金で購入するよりは,薬を飲んだ方がはるかに確実な効果が期待できるという訳です。

投稿者: 平井クリニック

2011.09.01更新

禁煙補助薬「チャンピックス(バレニクリン)」の使用上の注意が改定されました。平成22年10月のタバコ税値上げ後,禁煙治療希望者が急増し,副作用の報告例が集まり,その中に,「意識障害」が含まれていました。このため,今回,注意喚起がなされることになりました。

報告の内容としては,チャンピックスを服用開始8日目に,1回1mg,1日2回に増量したところ,朝の服用約20分後,車の運転中によだれを垂らし,全身が震え,意識がなくなり,気がついた時には道路の側溝に車が突っ込んだ状態になっており,夕の服用後も同様な症状が出現したとのことです。チャンピックス中止後は,同症状は出ていません。

以上の事例から,使用上の注意が,従来「危険を伴う機械を操作する際には注意させること。」となっていましたが,「危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。」に改定されました。つまり,チャンピックス服用中は,車の運転など,意識がなくなった時に重大な危険を起こす可能性のあることはしてはいけないということになりました。

チャンピックスの服用期間は12週間で,この間,車の運転をしてはいけないということは,多くの禁煙治療希望者でチャンピックスは使用できない可能性があります。禁煙治療が広がった背景には,値上げの他に,禁煙成功率が従来のニコチンパッチやニコチンガムより向上したことも考えられ,治療にはかなりの痛手です。実際,服用開始1週間で,自然とタバコが欲しくなくなったという方も多いのです。

今後の方針としては,現在,チャンピックスで治療を行っている方は,意識障害の副作用は比較的早い時期に出現していることから注意して服用を継続し,新規の方は,危険な機械の操作を止められない方はニコチンパッチでの治療ということになろうかと思います。

危険性を患者さんに説明し,十分納得して希望される場合には使用可とも考えましたが,突発的な意識障害を起こす「てんかん」の自動車運転と同じく,服用の可否は医師が判断する必要があるかと思われます。

意志の力だけで禁煙できないのはニコチン依存症という病気だからであって,その有効な治療薬が使いづらくなったのは残念なことです。

投稿者: 平井クリニック

2011.08.29更新

休日を利用して,実家近くの熱田神宮へ行ってきました。今まで初詣くらいしか行ったことがありませんでしたが,知人からパワースポットのことを聞き,出かけてきました。

本殿を右に曲がり,神楽殿横の鬱蒼と木々が茂った小道を下って行くと,付きあたりに清水社があります。



途中で何人かにすれ違い,結構知られた場所のようです。御祭神は水を司る神様である罔象女神(みずはのめのかみ)です。

社殿の奥に湧き水が出ているところがあり,「お清水さま」とよばれています。この水で洗うと,目がよくなり肌がきれいになりで,パワースポットして雑誌などに紹介されています。



湧き水の中に苔むした石がありました。この石は楊貴妃の石塔の一部だそうで,楊貴妃にまつわる伝説が熱田神宮にはあります。

中国が唐の時代のことです。玄宗皇帝は大和国(現在の日本)を侵略しようとしていました。それを憂えた天照大神の命を熱田大明神が受け、熱田大明神は唐で楊貴妃という名の絶世の美人へと変身しました。楊貴妃の美貌に心奪われた玄宗は唐へと引き下がってしまい,目的を達成した熱田大明神の魂は熱田の地へと舞い戻ったというお話しです。

湧き水でしっかりと顔,手を洗ってきましたので,ご利益があったら,またご報告いたします。

投稿者: 平井クリニック

2011.08.25更新

突然,島田紳助さんが引退しました。話術に長けた司会で,漫才をやっていたころからすごい才能だと感心していました。自分自身,あまり口がたつほうではないので,話のうまい人を見ると,よほど普段から自分の考えをまとめているのか,話しながら論点を整理していけるのか,不思議に思っていました。先日の会見を見ても,暴力団関係者と数回会ったりメールをした程度であるが,今後の芸能界のために,甘んじて自分に重いペナルティーを科したと視聴者の同情を誘う様は,さすがと思わせました。

今回,十数年前に自分では解決できないトラブルがあって,それを暴力団関係者に解決してもらったことから付き合いが始まったとの説明でした。実際に会った回数は多くはなく,それだけでは確かに今までの例からして,引退するほどのことはないのかもしれません。気になるのは,暴力団関係者が解決したということは,やはり暴力や脅しで解決したということで,トラブルの相手はどうなってしまったんでしょう。その後の付き合いの多い少ないより,トラブルの解決を暴力団関係者に任せ,相手はともかく自分は楽になったことに恩義を感じていたことに問題があると思います。

これからは一般人として誰とでも気兼ねなく人付き合いができますが,今回問題になった関係はどうするつもりでしょうか。

以上,いろいろ感ずることはありますが,歯切れのよい弁舌を聞けなくなるのはやはり残念ですね。

投稿者: 平井クリニック

2011.08.22更新

血液凝固阻止剤「プラザキサ」による重篤な出血に関する注意喚起が厚労省から出されました。この薬は,心房細動のある患者さんで血栓による脳卒中や全身の塞栓症が起きないように,血液を固まりにくくする作用があります。一方,出血があった場合には,当然のことながら,止血しにくくなります。

血液凝固阻止剤としては,以前から,「ワーファリン」が用いられてきました。こちらは,効き目が食事や他の薬の影響を受けやすいため,納豆,青汁,クロレラなどの食事制限があり,通常は1-2ヶ月毎の血液検査(PT-INR)で患者さん毎に薬の量を調整する必要があります。

プラザキサは食事制限が必要なく,薬の量が固定で,ワーファリンのような煩雑さがありません。さらに,本邦発売前の国際共同試験では,脳卒中,全身塞栓症,頭蓋内出血の発症率が,ワーファリンに比べ少なかったという成績でした。

以上の利点から,平成23年3月の発売時にはかなり期待が大きかったわけですが,8月11日の時点で,64000人中(推定),重篤な出血の副作用が81人,うち5人が死亡という状況になり,注意喚起が出されるに至りました。

これは,プラザキサがワーファリンに比べ,実は副作用が多いということではなく,多くの医者が多くの患者さんに薬を出すようになると,臨床試験では分からなかったことが明らかになるということだと思います。

先に述べたように,ワーファリンはPT-INRを目安に投与量を調節するのが煩雑な反面,薬の効いている程度が検査でわかる利点があります。これに対して,プラザキサは薬の効果の変動が少ないため投与量は固定で簡便ですが,薬の効果を見る一般的な検査がありません。鼻出血,皮下出血,歯肉出血などの出血があって始めて効きすぎを疑うことになります。

腎臓の働きが低下している人,高齢者,消化管出血の既往のある人などは慎重投与となっていますが,これらに当てはまる場合は,ワーファリンでこまめに検査をして投与量を調節したほうが,当面は安全かもしれませんね。

投稿者: 平井クリニック

2011.08.15更新

子宮頸がん予防ワクチン(サーバリックス)の供給不足が解消され,公費助成対象者への初回接種が再開されました。専門外ですが,子宮頸がんについて,少し勉強したことを書きたいと思います。

子宮頸がんが他のがんと大きく異なる点として,
1. ワクチンで予防できる
2. 前がん状態での早期発見が可能
の2点が挙げられます。

子宮頸がんの成因として,発癌性のヒトパピローマウィルス(HPV)の持続感染が深く関与していることがわかってきました。ワクチンはこのHPVに対する抵抗力をつけることで感染を防ぎ,子宮頸がんを予防する効果があります。ただし,いったん感染してしまったHPVを排除することはできませんので,感染機会(性交)のないうちに接種するのが効果的です。ワクチンに含まれていない型の発がん性HPVによる感染を考慮すると,予防効果は70~80%と言われています。

2番目の早期発見ですが,特有の自覚症状がないだけに,まずは検診を受けることが重要です。日本では,子宮頸がんは50歳以上の中高年では減っているのに対し,20~30歳代の若い女性で増えています。原因として,若い年代の検診の受診率が低いことが考えられています。

検診は,子宮頸部の細胞を採取して顕微鏡で見る細胞診で行いますが,この検査の特徴として,がん細胞を判定するのは正確だが,前がん病変の検出感度は75%程度と低いことが挙げられます。

最近,新しい検査法として,発癌性のヒトパピローマウィルス(HPV)の感染の有無を判定する,HPV DNA検査が開発されました。この検査と細胞診を併用すると,検診の感度がほぼ100%になるそうです。つまり,両検査とも陰性であれば,がんはまずないということで,欧州での研究によると,この場合は検診間隔を6年に延ばしても安全であったとのことです。両検査とも陰性の時は,少なくとも,毎年は検診を受けなくてよく,自治体の財政面での負担も軽くなることが期待されます。

さらに,前がん病変で見つかると,治療は円錐切除といって子宮は残すことができ,その後の自然妊娠,分娩が可能になります。妊婦の平均年齢が上昇していることを考えると,子宮が残せるかどうかは非常に大きなポイントになります。

HPV DNA検査は,自分で検体を採取できますので,若い年代の受診率を上げることにも有効と思われます。ただし,子宮頸がんの内,HPV DNA検査が陰性のものが3%程度あるとのことですので,細胞診も受けるように啓発する必要があります。

若い年代への子宮頸がん検診の敷居を低くするには,まず,HPV DNA検査を行うのがよいのではないかと思います。

投稿者: 平井クリニック

2011.08.10更新

JFLの松田選手が急性心筋梗塞で亡くなりましたが,当院でも最近,胸痛で受診される患者さんが続きました。循環器内科を標榜しているせいもあるでしょうが,2週間で4人も不安定狭心症(心筋梗塞の一歩手前)で近隣の総合病院に紹介し,1人はバイパス手術,3人はカテーテル治療になりました。

狭心症や心筋梗塞は,心臓の筋肉に血液を送っている冠状動脈の流れが悪くなって起きる病気です。一般的には寒い時期に増えますが,夏の暑い時期には脱水で血液が濃くなっても起きると考えられます。とは言っても,まったく正常の血管が脱水になっただけで詰るとは考えにくく,元から動脈硬化のある部分が急に閉塞すると考えられます。

自分は今まで心臓の病気はしたことがないし,血液検査でも異常は指摘されたことがないので大丈夫かと言うと,そんなことはありません。

今回の松田選手も,プロのスポーツ選手で,同年代の一般人よりはメディカルチェックはきちんと受けていたはずです。

先ほど,"まったく正常の血管が脱水になっただけで詰るとは考えにくい"と書きましたが,どんな人でも生まれた時から,徐々に動脈硬化は進んでいます。つまり,まったく正常の血管を持っている人はまずおらず,あるのは動脈硬化の程度の差だけです。そして,高血圧,糖尿病,脂質異常症,喫煙といった動脈硬化の危険因子があると,より病気になりやすくなります。

夏の心筋梗塞を予防するには,水分補給で脱水にならないように気をつけるのも大事ですが,それ以上に,日頃から食事,運動など健康に気をつけた生活習慣を心掛けるのが重要です。

投稿者: 平井クリニック

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