院長ブログ

2011.09.19更新

昨日の日進市の花火大会で,予定されていた福島の花火が一部の市民からの抗議で打ち上げられなかったというニュースがありました。東日本大震災の被災地復興を応援するはずが,新たな風評被害を作ってしまい,被災地の方々には逆に不愉快な思いをさせてしまったのは残念なことです。さらに,日進市が新たな風評被害の発信地として全国的に知れ渡ってしまい,日進市のイメージダウンも計り知れないものがあります。

なぜ,このような風評被害が後を絶たないかというと,やはり情報不足から沸き起こる不安感が,個人によってはかなり大きなものになってしまい,過敏に反応してしまうということだと思います。

主催者側は,8月の京都五山の送り火で,陸前高田の松が使えなかった事例から学ぶべきでした。心配した市民からの問い合わせには,放射能測定値や専門家の安全だという意見をもって答える準備をすべきでした。

普段,診療をしていても,患者さんが受診される症状の程度には,かなり個人差があります。少しの擦り傷で来院する方もいれば,出血が止まらなくてやっと来院する方もいます。これは,人によって,心配の閾値が異なることが原因で,医療者は,普段から個々の心配の閾値を推し量り,いざという時に備え,必要な情報と情報の解釈の仕方を十分に提供しておく必要があります。

患者さんとは,なるべく時間をかけてお話しし,病状だけでなく普段気に留めていらっしゃることも十分に把握できるよう,努めて参ります。

投稿者: 平井クリニック

2011.09.15更新

前回,禁煙補助薬"チャンピックス"による意識障害について書きましたが,米国の添付文書には,WARNINGS AND PRECAUTIONSの項目に,「患者はチャンティックス(米国での販売名)による禁煙が自分にどのような影響を及ぼすかを把握するまで,運転や機械操作など事故の恐れのある行為には注意してください。」とあり,欧州の添付文書もほぼ同じような内容です。患者さんに必要な情報を提供した上で,服用するかどうかは自己責任で判断して下さいということで,文化の違いがよく表れていると思います。

欧米では,自分の行動は自分の意志で決めるものであり,そのため,自分の行動に対しては自分で責任を持たなければいけないという自己責任論があります。どのような文化的な背景でこうなったかは分かりませんが,生活の隅々までこのような考え方は浸透しているようです。なでしこジャパンの協調性の良さに対して,欧米のチームは自分が納得するまで動かないので監督は大変だという趣旨の発言を佐々木監督がしていました。

日本でも2004年のイラク人質事件の頃からだと思いますが,個人の行動に対する自己責任がよく問われるようになりました。

生活習慣病は,その名のとおり生活習慣が発症,進行に関与している病気ですが,病気についての自己責任はどう考えればよいのでしょうか。日本は相互補助の健康保険制度が発達しており,病気にかかった際の医療費は一部の自己負担金ですみます。生活習慣は,仕事などで制限される部分もありますが,食事,運動,喫煙など,多くが自己責任の範疇です。つまり,体に悪いと分かっていても習慣を変えられずにかかった病気の医療費を,他人が負担している訳です。

健康についての自己責任は,例えば喫煙者では生命保険の保険料が割り増しになるなど,病気が発症する前は,考慮されるようになってきましたが,いざ病気になった場合には,平等に医療を受けられ,差別されることはありません。命の重さを考えると当然のことですが,同じような生活をしていても病気になる人もいればならない人もいるなど,もって生まれた素質にまで自己責任を負わせるのは酷だとも言えます。また,実際問題としても,生活習慣病の多さを考えると,ここで自己責任論を持ち出すのは,よい医療が受けられずに病気で働けない人があふれ,社会が立ち行かなくなる危険性もあります。

個人は唯一無二の存在であり家族や社会にとってかけがえのないものです。より良く生きる手助けをし,病気になった時には速やかに軌道修正できるような医療を提供したいと思います。

禁煙補助薬の添付文書から,いろいろ思いをめぐらせてしまいました。

投稿者: 平井クリニック

2011.09.04更新

高血圧は日本人に一番なじみのある慢性の病気ですが,薬は飲み始めたら止められないので嫌だという人が多くいます。これは,ずっと薬を飲むのは面倒,副作用が心配,費用がかかる,特に体調が悪くないので必要ない,今まで元気だったのに病気を認めたくないなど,色々な理由があるでしょう。実際問題として,薬を飲むのは,血圧が上がりすぎて具合が悪くなるぎりぎりまで待っても良いのでしょうか。

結論から言うと,薬が必要な場合は,なるべく早く飲み始めたほうがよく,最近,これを裏付けるような論文が出ました(Hypertension. 2010; 56: 1060-1068.)。これは,まず2つのグループを作り,片方には降圧薬を,他方には偽薬(血圧を下げる作用はないもの)を一定期間飲んでもらいます。途中からは両グループとも降圧薬に変更します。すると,初めのうちは,当然,降圧薬を飲んだほうが死亡率が少なくなりましたが,薬を変更後もその状態が続きました。動脈硬化,左室肥大などは高血圧によって徐々に進行し,降圧治療で予防,改善できますが,途中から治療を始めたグループでは初めから降圧薬を飲んだグループに追いつくほどには改善しなかったということでしょう。つまり,薬はなるべく早く飲み始めたほうがよいということになりました。

次に,薬は飲み続けないといけないかということについては,どうでしょう。高血圧の原因には,肥満,塩分の摂りすぎ,喫煙,飲酒,ストレス,寝不足,家族歴などがありますが,これらの中で,生活習慣が原因になっているものについては,原因を解消すれば薬が要らなくなる可能性があります。

高血圧と診断され,薬が必要と判断されたら,なるべく早く内服を開始し,それと同時に生活習慣を見直すのがベストです。

血圧を下げるという宣伝文句のサプリメントや健康食品を高価な代金で購入するよりは,薬を飲んだ方がはるかに確実な効果が期待できるという訳です。

投稿者: 平井クリニック

2011.09.01更新

禁煙補助薬「チャンピックス(バレニクリン)」の使用上の注意が改定されました。平成22年10月のタバコ税値上げ後,禁煙治療希望者が急増し,副作用の報告例が集まり,その中に,「意識障害」が含まれていました。このため,今回,注意喚起がなされることになりました。

報告の内容としては,チャンピックスを服用開始8日目に,1回1mg,1日2回に増量したところ,朝の服用約20分後,車の運転中によだれを垂らし,全身が震え,意識がなくなり,気がついた時には道路の側溝に車が突っ込んだ状態になっており,夕の服用後も同様な症状が出現したとのことです。チャンピックス中止後は,同症状は出ていません。

以上の事例から,使用上の注意が,従来「危険を伴う機械を操作する際には注意させること。」となっていましたが,「危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。」に改定されました。つまり,チャンピックス服用中は,車の運転など,意識がなくなった時に重大な危険を起こす可能性のあることはしてはいけないということになりました。

チャンピックスの服用期間は12週間で,この間,車の運転をしてはいけないということは,多くの禁煙治療希望者でチャンピックスは使用できない可能性があります。禁煙治療が広がった背景には,値上げの他に,禁煙成功率が従来のニコチンパッチやニコチンガムより向上したことも考えられ,治療にはかなりの痛手です。実際,服用開始1週間で,自然とタバコが欲しくなくなったという方も多いのです。

今後の方針としては,現在,チャンピックスで治療を行っている方は,意識障害の副作用は比較的早い時期に出現していることから注意して服用を継続し,新規の方は,危険な機械の操作を止められない方はニコチンパッチでの治療ということになろうかと思います。

危険性を患者さんに説明し,十分納得して希望される場合には使用可とも考えましたが,突発的な意識障害を起こす「てんかん」の自動車運転と同じく,服用の可否は医師が判断する必要があるかと思われます。

意志の力だけで禁煙できないのはニコチン依存症という病気だからであって,その有効な治療薬が使いづらくなったのは残念なことです。

投稿者: 平井クリニック

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